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講師登壇レポート・リジェネラティブデザインカレッジ2025(館山)
「見えないものに目を向ける」雨の森で五感をひらく一日

2025/05/20
講師登壇レポート・リジェネラティブデザインカレッジ2025(館山)
「見えないものに目を向ける」雨の森で五感をひらく一日

2025年5月17日(土)、千葉県館山市 安房大神宮の森を舞台に、フィールドワークが開催されました。

NPO法人グリーンズ様が主催する連続講座『リジェネラティブデザインカレッジ2025』
その第二講座「目に見えないものに目を向ける」に、代表の高田が、講師として招かれたものです。

今回のフィールドワークは、大きな反響を頂いた4月9日に開催されたオンライン講義の実践編です。
全国から約30名が参加し、雨の森ならではの学びとなりました。


雨の中でのスタート


「リジェネラティブデザインカレッジ2025」は、再生的な視点で社会や環境と向き合うことをテーマにした連続講座です。
高田は「土中環境」という視点から、自然との関係を見直すアプローチを紹介しました。

Greeenz.jpでは講座に先立って、高田を記事にしてくださっています。ぜひご覧ください。

Greeenz.jpの記事はこちら



あいにくの雨となりましたが、森のしっとりとした空気や濡れた大地は、かえって参加者の感覚をひらきました。
水を含んだ土の匂い、雨音の響き、足元の柔らかさなど、普段見落としがちな“見えない世界”に、五感で向き合う時間となりました。



午前中は安房神社の周辺の環境を観察しながら歩きます。

弁天池、地形の切り替わりにある素掘りの溝、ご神木、裏手にある盛り土などを、その場で足を止め環境上の意味を解説しました。時代とともに変化し失われていく様子も随所に見られました。


午後は一年前に完成した縄文小屋へ向かいます。
自然の素材と手仕事の蓄積によって形づくられた「住まいの原型」として紹介しました。参加者の方は、小屋から見て取れる、しなやかに強度を保つ知恵と技術に感嘆されたようです。


焚火を囲みながら、先人の智慧に静かに触れるひととき

続いて、手ぐわを用いた草刈りを行いました。

春から初夏にかけて勢いよく伸びる草を「敵」とせず、穂先だけをやさしく刈り取る方法を紹介。命ある生きものとしての役割を尊重するという意味もお伝えします。
高田の所作によりどんな感覚が得られるか、実際に参加者にも体験してもらいました。



切り拓かれた小径の先にある水辺へ向かうと、雨で水かさを増した川の流れの先に溜め池が広がっています。その脇には、かつて田畑として使われていた痕跡も見られ、森と人の暮らしが結びついていたことを物語っていました。



参加者の中には、地域づくり・農・建築・教育など、多様なフィールドで実践を重ねる方々が多く見られました。
フィールドに出る前のミニ講義中にもたれた語り合いの時間では、それぞれの視点や問いが交わされ、新たなつながりが生まれたようです。
「目に見えないものに目を向ける」というテーマは、自然だけでなく、日々の暮らしや仕事を見つめ直すきっかけにもなりました。


今回の実施にあたり、フィールドを提供下さいました安房神社の皆さま、千葉県立館山野鳥の森の皆さまに、心より御礼申し上げます。
有機土木協会は、こうした実践を通じて、「自然といかしあう関係性」を社会に広げいくよう取り組んでまいります。
ありがとうございました。


(written by 来島由美)