高田造園スタッフの大平渓子です。
2025年11月24日、曇り予報吹き飛んだ秋晴れのもと、宮城県石巻市北上町において「平地の杜ウォークスルー&植樹会」の講師を担当させていただきました!スタッフ含め総勢30名ほどでの賑やかな施工会となりました。
平地の杜プロジェクトは、一般社団法人ウィーアーワン北上が主導する住民主体の杜づくりプロジェクトです。東日本大震災で被災し、固く乾いた荒野となってしまったかつての集落跡地に、美しい草木たちが元気に育つ、そこに身をおきたくなる気持ちのよい場所へと再生する…そんな希望と祈りに高田宏臣(有機土木協会代表理事)が共感し、私たち高田造園スタッフも杜づくりに携わらせていただくようになり丸4年が経ちました。
今年の施工会は、これまでの施工会とは趣向を変え、みんなでガンガン施工!!ではなく、ゆっくり歩いて眺めてみる時間をとり、そのあと必要な場所へ補植作業を実施しました。
施工会の最初に、5年間、様々な場所で環境再生に携わらせていただいた経験から痛感していることをお伝えしました。それは、観察と、その土地に向き合い続けることの大切さです。

環境再生は壮大で予測不能な自然の営みの流れで起こっていくことであり、ある変化を狙って造作をしても違う変化が起こるということがあります。そのときに、
「結果がでなかったから、あのやり方はだめなんだ」
と、思考をストップさせると、千差万別のその土地らしさにいつまでも向き合えず、環境再生がうまく進みません。
「この土地ではこうなるんだ。なぜだろう。ここから次はどうするといいだろう」
と、観察し、その土地の個性に向き合い続けることで、環境再生が進んでいく、という現場をいくつも見てきました。
平地の杜は…後者!と断言します。リピーター参加者が多いことも、このプロジェクトがいかに地に足がついているかを表わしているように思います。主要メンバーも一般参加者も、歴代の講師の言葉を鵜呑みにせず、草木土を日々観察し、五感で納得することを自然にしていることが、講師としてとても心地よく、たくさんお喋りしながらの観察会になりました。

土を観察するため穴をほり、ついでに落ち葉をつめよう。
においは?そのつめ方でOK?あのいい雰囲気の場所もちょっとほってみようよ。
そろそろ剪定かな。それは飾りとしての木を仕立てるため?杜をつくるため?
草がすごいけれど、これ、樹皮をはいじゃうシカから苗木をカモフラージュするのにもなってるんじゃない?
次に苗木を植えるならどこだろう。人が集う場所もほしいな。
ここ、崩れちゃったけど、何が足りなかったのかな?
そんな観察と実践を繰り返して、あっという間に午前が終了しました。

お昼はいつも通り、地元のお母さんたちの地元食材を使ったおいしいご飯をいただきました。この集落に住んでいた方が毎年毎年、施工会にかけつけてくださる。そんなつながりに憧れを感じました。


午後は植樹をしてWSは終了!
何度も植樹をしてきましたが、一度も同じ植樹はなく、今回も「今」の平地の杜で行う特別な植樹となりました。小さな苗木がすっかり森の一員の顔をしている先輩苗木たちと、見えないはたらきでつながって、森が広がっていくことが楽しみです。

施工会後、夕闇のなか震災遺構大川小学校を訪れました。ここで命を落とした女の子が生前残した言葉が目にとまりました。
「私は山と川と人のいる北上が大好きで、たまに町に行ってもすぐに帰ってきたくなります」
平地の杜プロジェクトを通し、代表の尚美さんらは「復興」に常に向き合い続けてこられました。4年前、荒野だった平地の杜にはずいぶんと生き物が増えましたが、何より、これだけの人という生き物を集わせたことが、平地の杜づくりらしさであり、心地よさを生み出した証明なのではと感じました。
平地の杜プロジェクトはこれまで毎年施工会を実施し、社会的にも高い評価を得てここまで来ました。しかし、施工会については様々な事情を鑑みて、今年度を目途に最後とし、次のステージに進むことになるそうです。
以下、平地の杜プロジェクトからの案内です;
改めて地域住民やポサーターの皆さま、そして地元大学との連携を強化し、メンテナンス、手入れをしながら、この場所の回復を図ってモニタリング活動を継続させていく方針です
施工会は最後となっても、私どもの想いが変わるわけではありません。これまで同様この場所の回復を願い、手を掛け、その意義を社会に発言し続けたいと思っています。
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私事ですが、今年いっぱいで高田造園を卒業し、地元富山の自然環境を未来につなぐ活動を展開します。今回平地の杜の活動に改めて学ぶところ多く、節目にかけがえのない経験をさせていただき、感謝の念にたえません。
平地の杜には今後とも通い続けます。有機土木協会サポーターの皆さまにおかれましても、今後とも、平地の杜プロジェクトにどうぞご注目くださいませ!
最後になりましたが、素晴らしい機会を創出してくださった一般社団法人ウィーアーワン北上、有機土木協会の皆様、そして北上という土地に心より御礼申し上げます。