(通称) 寺家ふるさと村にある、JIKE STUDIOさま主催にて、10月から始まる全5回の講座に備えた、資材作りワークショップを8月30日に行ってまいりました。
都心から程近く、里山の風景が広がる寺家町にてギャラリーとカフェを運営されている、JIKE STUDIOさま。自分たちの手で、寺家の里山を未来に残していきたいと、今回、講座をご依頼くださいました。JIKE STUDIO様の詳細については、ぜひ、こちらのサイトhttps://readyfor.jp/projects/JIKE_STUDIO_FARMをご参照ください。
今回のワークショップのテーマは
「自分たちの力で、環境を改善するために必要な資材を準備できるようになること」
10月から始まる講座に備えて、また、講座後も自分たちで持続して作業を続けていけるよう、資材を自給できるようになることを目標に、竹炭、籾殻くん炭、焼き杭はじめ、作業に必要な資材作りのレクチャーを行いました。
参加者は主に、講座参加予定者も含めた総勢23名、お子様も2人。地元の造園屋さんも7人ほど、ご参加くださりました。
講師は、千葉をはじめ、環境改善を伝えている大谷健さん。
自己紹介を終えたら、早速作業開始です。
まずは、青竹の伐り方、捌き方について、用途に合わせて、伐り出す竹を選ぶことや伐る場所について、説明しました。ここでは竹炭作りに使用する青竹を伐り出しました。
材料を揃えたら、竹炭作りの作業開始です。
今回は無煙炭化炉を使用して、竹炭を作りました。材料は枯れ竹と青竹。
枯れ竹は、焼き場近くにある裏山から竹林内に倒れて散らかっていた枯れ竹を引き出し、整備をしつつ、持ってきたもの。竹炭作りは荒れた竹林も綺麗になるから一石二鳥です。
焚き付けにはよく燃える乾いた枝や草、竹の枝を使用します。
この時、気をつけたいのは、竹の葉っぱはついていないこと。竹の葉は燃えると舞い上がり、火の粉となって延焼の原因になります。
枯れ竹と青竹の割合は半々が理想です。枯れ竹だけだと燃焼効率が良すぎて燃え上がり、火力がとんでもないことになるので、青竹で火力を抑えます。火柱が上がって、火の勢いが強くなってきた段階で青竹を入れます。青竹は入れすぎると今度は焼くのに時間がかかるので、塩梅が大事になります。
ちなみに、焼き作業をする前は、周辺に民家が近い場合は、消防に知らせることをお勧めします。地域の方々から反感を買われてしまっては、作業自体ができなくなりかねません。安全のためにも、周知はしておくのがベターです。
そして、竹は、割れていなければ、節を抜いておくか、節と節の間に切れ込みを入れておくか、ハンマーなどで割るかします。竹内部の空気が熱で膨張し、弾ける際に大きな音が出るためでもありますし、子供がいる場合、炭化炉からはみ出た竹が弾けた際、竹の中の節が鉄砲玉のようにとんで来る可能性があり危険なためです。
この日は、この夏一番と言われるほどの超猛暑日。立っているだけでクラクラする中、火柱をあげて、竹を焼きあげました。
焼き係はフェイスシールドと革手袋必須、初めての方も懸命に焼いてくださいました。
籾殻くん炭も竹炭作りと並行して、行いました。
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午後は、裏山に上がり、主に、資材を山から調達する上での大切なことを初め、どのように資材を調達し、管理していくのか。また、山に入る時の作法について、お伝えしました。
作業道を塞いでしまっている枝の剪定についてや伐った枝の捌き方、まとめ方、運び方、置き方、について、実際に資材として、作業で使いやすく管理するには、どうしたら人にとっても、資材にとっても、資材をおく環境にとっても良いのか、様々な視点に立ったやり方をお伝えしました。
参加者の皆さまの真剣な眼差しが伝わってきます。
写真はありませんが、この他にも、焼き杭作り、作業する際の足かがり道作り、など、行いました。
今回、ご参加下さった皆様は大変熱心にお話を聞いてくださり、とても暑い中、動いてくださる方も多く、各作業工程ごとでご質問をいただきました。
実際に作業して頂いた後に質問を介して、みなさまの疑問点や意見交換をおこなうことができました。地元が近い方も多く、落ち葉をたくさん持っているので渡したいといった方や資材になりそうなものを寄付できないか、といったお話もあり、地域の皆さまの交流のきっかけが生まれたことは何よりありがたいことでした。
今後は、10月以降の講座に向けて、今回ご参加者のみなさまに声をかけながら、定期的に資材作りを進めていくとのことで、サポートの方をしていく形になります。
以上、ご報告とさせていただきます。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
]]>栃木県那須町の廃校を活用した施設、「那須まちづくり広場」さま主催にて全3回を予定している有機土木連続講座、第1回のご報告です。
後援:(一社)有機土木協会
元校庭に平屋住宅が立ち並んだこの施設は、住宅周りの非常に悪い水はけに悩んでいました。2024年7月より有機土木による環境改善開始、降雨を排除するのではなくその場で染み込ませ、土地を涵養し、人だけでなく木々をはじめとした多様な生き物が息づく場所を目指して高田造園による施工を続けております。
那須まちづくり広場さまは、老若男女様々な人々が集う「まち」づくりを目指しておられます。今回も参加型で!という強いご希望があり、ご入居者さまだけでなく那須町在住の方、有機土木に関心のある方にひろくお声がけし講座を開催することができました。
平日の暑いなかでしたが、スタッフ含め総勢20名ほどでのにぎやかな作業となりました。
初日はまず高田親方から、有機土木とは何ぞや?のガイダンス
皆さまの期待が高まったところで、施工開始です!
今回は元校庭に通ったアスファルト道路周りの通気浸透環境改善を行いました。高い道路から低い庭へ、道路のチリを含んだ降雨が流れ込み、庭を泥詰まりさせ水はけを悪化させるという悪循環を断ち切るべく
1. 道路際に通気浸透溝
2. 植栽マウンド
を設置しました。
1. 道路際に通気浸透溝
溝に集水し、降雨の地下浸透を促すとともに、落ち葉や藁といった有機物を溝に入れ、生き物による降雨の浄化をねらいます。浄化された水でなければ地下水脈の発達は難しく、生き物頼りの環境づくりであることを参加者さんにお伝えしたところ、
「菌も虫も必要なのね、もうとらないわ」
「庭いじりででる草も資材になるのかしら」
とさっそく生活に落とし込んでくださり、スタッフとして嬉しく感じました。
施工の様子。庭に泥水が流れ込まないよう、溝に丸太や石をいれ暗渠化、道より少し高くします。有機物も忘れずしっかりつめていきます。
*暗渠
地上からは見えない地下の溝、水や空気、生き物が動く空間のこと
開渠は上部があいており、有機土木では集まる水の量や周辺環境との関係性に応じて暗渠と開渠を使い分けます。(キャプションおわり)
道より少し高くすることで、庭への泥水の流入を防ぎます
2.植栽マウンド
溝掘り、穴掘りと植栽マウンドは必ずセット。掘ってでた土を盛り上げて高低差をつくり、通気浸透性のよい高地(マウンド)に木を植えることで木の成長がよくなるだけでなく、環境も同時によくなっていきます。
根の周囲で土の団粒化がすすみ、根を起点に生物に好ましい通気浸透環境や地下水脈がより地中深く、広く発達していくのです。
また、木は木陰をつくり、水を吸い上げ、地上にも潤いをもたらしてくれ、多様な生物のよすがとなります。
参加者の方が苗木を扱う手つきがやさしく、共に環境をつくる仲間として扱ってくださっていることが伝わってきました。
マウンド
WS翌日はスタッフ5人で本気の施工、でしたが講座参加者さんが5人も応援で駆けつけてくださりました。
復習がてら…と言いながらひたすらに溝掘り、石運び、落ち葉つめ、と黙々と作業していただいたおかげで目標まで施工を進めることができました。
有機土木は人頼り、生き物頼りで、つながりがだんだん豊かになっていく、そんな古くて新しい土木のあり方であることを改めて感じました。
そういえば、今回施工技術長を務めてくださった大谷さんも、講座参加者としてのお付き合いスタートでした。経験を重ねられた現在は各地で有機土木を実践、有機土木指導者としてもご活躍されています。
今後も講座や施工に参加いただく機会を計画し、有機土木という視点、技術を様々な方と共有させていただければと存じます。
次回那須WSは9/23を予定しております。翌日24日はスタッフ施工、ボランティア参加大歓迎です。皆さまとお会いできることを楽しみにしております!
最後になりましたが、講座を主催いただきました那須まちづくり広場さまに心より御礼申し上げます。
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都区内にあって極めて貴重な渓谷林だが、問題は多い、というか、課題だらけだ。 今、樹林地健全化を決断した世田谷区の英断に感謝。 |
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荒廃して土層分断面が上昇してくると、こうした小規模地すべりが多発し、そして崩壊土砂が土砂ダムとなり、滞水箇所をまし、斜面を不安定化してゆく。 これも適切かつ体系化した対処方法で、再びしっとりと安定した状態にすることは実は難しくないこと。 |
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一期工区における斜面健全化対策箇所をピックアップしにきたのだが、問題箇所だらけ 今、日本中の斜面林の多くがこうした危機に直面しており、そしてその原因もはっきりしている ここで対処方法と観察の視点を体系化してゆくことの意義は大きい |
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全長2キロに及ぶ参道緑地が市街地にあってなお残ること、それ自体が奇跡 しかしながら、周囲の環境変化とともに木々は衰弱し、そして次世代の後継樹木の芽吹きも今はない これを、次世代に続く杜の環境へと再生してゆくことが現代に生きる我々に課せられたこと | このプロジェクトの仕掛け人、鈴木圭介氏率いる株式会社soilの若衆と、高田造園のホープ、大介 次世代を開く若者たち、いい目してるな |
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大宮氷川神社権宮司さん。若き権宮司の熱き思いがなければ、今回の令和の再生は始まらなかった | プロジェクトの安全と豊かな参道緑地の再生を祈念して |
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資源が完全循環する社会を目指す埼玉県内の産廃会社、石坂産業の担当者たちと 大量に必要になる石材は、石坂産業に持ち込まれた廃材を提供いただき、活かしてゆく | カチコチの大地の再生のために、枯れていった大木の根元を生かしてゆく 死して終わらず、死して再び次の生の礎となる。そうして生は未来につながる |
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切り株植樹後 | 本日はここまで |
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場所は、参道の終点となる三の鳥居脇の緑地スペース (作図:パッシブデザイン株式会社 冨田倫世) 青線が今回施工したエリアで、黄色が次回予定 計画的かつ、確実な再生のためには計画検討と効果測定が不可欠 今回そこに力点を置くことで、この技と視点が他地域でも生かされやすいものにしてゆくこと、各地域にとって大切な神社の環境を守り再生するその方法と道筋を示すこと、そのために、素晴らしいメンバーが力を結集して臨みます 皆様のご参加、ご協力を歓迎します |
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元禄時代のマンホール。 井筒としての機能と木樋への分水を兼ねる この時代に生まれた職人は楽しかっただろうな。 | 同じく、元禄時代の木樋。これをそのまま土に埋めたら数十年も持たない。 もちろん、これがたとえ金属だってそのまま埋めて滞水環境を作ってしまうと腐蝕が進み、100年は持たない。 ところが、埋め戻しに木杭、石、藁を用いて通気性透水性を整えることで、表面の自然炭化、結晶化が進み、数百年と持続する。 |
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江戸時代のマンホール(水の濁り具合や滞りがないかを確認する覗き穴)と木樋の配管。 これだけを見ると配管経路は現代のそれと同様に見えるが、考え方はまるで違うのだ。 | 上水管埋設の復元。 周辺にグリ石が発掘されるのは、溝の浸透誘導効果を兼ねたものだったからだろう。 我々のやっていることは日本伝統の技術と視点の延長線上にある、本来の土木だ。 |
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江戸の街の上水設備配管(赤)イメージ。 奥の木板のラインは浸透排水溝。この水も、庭に浸透した水の湧水の湧き出しを集め、流れる水は綺麗だったことだろう |