『生きものとしての土木研究会オンライン学習会第6回』は、
夏休み企画として、「知られざる高山の役割と岩の話 」と題して開催いたします。
本案内をお読みの方には、この夏に山に登られた方もいらっしゃるかと思います。
記録的な酷暑が続くこの夏、山で過ごされた時間はいかがだったでしょうか。
有機土木協会代表理事の高田は山に魅了されて40年。この夏も時間の合間を縫って高山に登っており、高山の素晴らしい魅力をさらに深く感じています。
そこで今回の学習会では、高山の魅力はもちろん、有機土木や土中環境の視点から高山と岩の役割を紐解いていきます。
加えて、山の魅力に取りつかれたゲストの方々をお招きし、長年山と触れ合ってこられた様々な経験から「高山」を深掘りしていきます。
我々は山を登る対象、鑑賞の対象、信仰の対象、生活の場として見ていることがほとんどではないでしょうか。
この学習会が、皆様にとって、山の役割、山のあり方、山との付き合い方を考える一つのきっかけになれればと思います。
(追記)
2025年8月、能登や九州など全国各所で大雨による災害が起こっています。
被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。
そこで、第6回の学習会の冒頭にて、8月の大雨による被災などを踏まえて、災害と土中環境から見た復旧の課題などについて、10分ほどお時間を頂戴しまして高田より解説いたします。
以下、高田宏臣からのメッセージです。
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こんにちは。高田です。
秋雨前線や台風の時期を迎え、大雨に対して脆くなる国土、災害が繰り返される土地を案じる時節となりました。犠牲になられた方々やそこでの暮らしを継続できなくなった方々に心を寄せると同時に、土中環境の視点をより深め、広めていきたいと思います。
8月のオンライン学習会は、知られざる高山の働きについて——高山が生み出す豊かな水と空気、そしてそれらを浄化し続ける山の力について、神々しく美しい高山の写真とともに意見交換したいと思います。
「山は巨大なポンプ」というお話を2022年に書籍に記して以来、多くのご意見をいただき、この概念は大きな反響を呼びました。その後も、水循環や防災の専門家の方々とも意見交換を重ねてきました。
健康な山の岩間から湧き出す水や山中の自然湖は、清く美しく、決して枯れることなく周辺の大地を潤し続けます。一方、ダムの水は雨が降らなければすぐに水位を下げ、やがて枯渇してしまう——そんな不自然な光景ばかりを見慣れてしまった現代の私たちは、降水だけが水の供給源だと錯覚してしまうのも無理はありません。
しかし、それは自然本来の姿ではありません。本来の自然は、調和と均衡を保ちつつ美しい生きもの世界の循環をつくり上げています。それらのことも高山に身を置くことで、肌で感じ取ることができるでしょう。
高さ3000mの世界にでは、雲の流れや岩間の植物、苔むした岩肌から滴る水、岩間の無数の小さな穴から噴き出す冷気——そこから毎日湧き出す水が谷を伝い、山肌を濡らし、やがて雲や霧となって山を包みます。そこで繰り広げられる、太古から変わらぬ生きものたちのにぎわいが確かなことを教えてくれます。
その世界に身を置き、心身ともに浄化されながら、機械でも死物でもなく、生きものとしての確かな在りようを感じることで、人はこの大地の真の姿を知り、その働きを傷つけない向き合い方が見えてくるのです。
そんな世界に心惹かれ、私は15歳で山登りを始めてから40年が経ちました。おそらく体の動く限り、山に登り続けるでしょう。山に登る人は誰しも、この美しいいのちの世界がいつまでも続くことを祈り、引き裂かれる大地に悲しみを抱くものです。
「人は体感によってのみ、真実を感知し得るもの」とは、自然盆栽協会創設者・北村卓三氏の言葉です。
この高山の世界の真実を、科学的な最新知見も交えながら、皆さんと意見交換できればと思います。
今回は特別ゲストとして、国土交通省や鳥取県などで、砂防を中心に長く土木事業に関わってこられた草野慎一さんをお招きし、対談を行います。
他に、協会副代表で四国の霊峰石鎚山の修験者でもあるのりまつ造園の乗松正博さんと、立山連峰のふもと立山町出身である高田造園スタッフの山ガールの大平渓子さんも交えてクロストークを行います。
夏休みの終わりを告げる鐘の鳴る頃合いに、希望に満ちたお話を皆様と共有できればと思います。
有機土木協会代表理事 高田宏臣
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〈学習会概要〉
スピーカー
高田宏臣(有機土木協会代表理事)
ゲスト
草野慎一(元国土交通省(令和7年7月定年退官) 長年にわたり、国交省及び鳥取県の防災、砂防部署に在籍 )
乗松正博(のりまつ造園)
大平渓子(株式会社高田造園設計事務所)
司会
堀越侑莉奈(株式会社高田造園設計事務所)
日時
2025年8月28日金曜日 19:30~21:15
スケジュール
19:30 オープニングアナウンス
19:35~19:45 緊急解説
大雨災害と土中環境の関係について(高田宏臣)
19:45~20:15 基調解説
高山の果たす役割についての解説(高田)
20:15~20:35 トークセッション①
岩体内での水の動き それを滞らせるもの
(高田、草野慎一さん)
20:35~21:00 トークセッション②
標高3000m以上の世界から見えるもの
(高田、草野さん、乗松正博さん、大平渓子さん)
21:00~21:10 質疑応答
21:10~21:15 お知らせ、終わりのあいさつ
参加方法
Peatixよりお申し込みください。
Peatixで申し込み完了いたしますと、ページでリンクが取得できます。
※申し込めない場合は、下記メールアドレスまでご連絡ください。
mgmt@organiccivilengineering.org
アーカイブ
今回も学習会に申し込んでくださった方々に後日アーカイブをお送りいたします。
お願い
学習会についてのご質問は、Peatixイベントページの、「主催者への問い合わせ」からお寄せくださいますようお願い致します。
*内容は予告なく変更する場合がございます。あらかじめご了承ください。
ここまでお読みくださいましてありがとうございます。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。